HRプロ編集部取材×注目人事トレンド
今まで出会えなかった人材にリファラル採用を通じてアプローチ
――まずはリファラル採用を導入した経緯についてお聞かせください。
黒川 和真 氏 弊社は毎年、約750名の新卒者を採用しています。一方で、近年はキャリア採用にも力を入れており、ICT人材を中心に年間で約150名の即戦力を採用しています。
しかし、今やICT人材は従来のICT企業だけでなく、自動車メーカーや銀行など、さまざまな業界が必要としており、獲得競争は年々激化。優秀な人材を採用するのが非常に難しくなってきました。そうした厳しい環境の中、我々が求める優秀な人材、特に転職市場にはなかなか出てこない人材にアプローチすべく、従来の採用経路とは別の新たなチャネルを模索していたところ、辿り着いたのがリファラル採用だったのです。
この手法を使えば、社員の持つ人脈の中から現在転職を考えている知人・友人はもちろん、まだ転職を考えていない転職潜在層にもダイレクトにアプローチすることが可能なため、今まで出会うことのできなかった人材を採用するのに効果的なのではないかと考えました。
――御社のような大企業でも、人材の確保には苦慮されているのですね。リファラル採用の導入にあたり、どのような準備をされたのでしょうか
まずは他社の事例などを参考にしつつ、リファラル採用についてMyReferさんから情報収集しながら、制度づくりを進めました。その後、手始めにキャリア採用で入社した社員や、人材獲得に対する意欲の高い部門を対象に、約半年間のトライアルをスタート。その期間の中でリファラル採用の仕組みがきちんと機能することが確認できましたし、実際に優秀な人材を採用することができましたので、2018年4月に全社的に正式導入の運びとなりました。
――特にリファラル採用に力を入れている職種は何でしょうか?
基本的にすべての職種が対象ですが、なかでもエンジニアの領域には注力しています。近年獲得競争が激しくなっているAI技術者や、転職市場ではあまり見かけないようなニッチな専門性を有した技術者は、我々としても是が非でもアプローチしたい領域です。
――紹介した社員に対するインセンティブはありますか?
はい、インセンティブを用意しています。リファラルで入社した人が試用期間を終了した場合、紹介者に10万円を支払うという仕組みです。
――どのようにして、社員に対してリファラル紹介制度の周知を行っていますか?
まずは役員から全社員3万4,000人に対し、制度の概要と社員ひとり一人がリクルーターとして採用活動に参画してほしい、とのメッセージを発信しました。同時にリファラル採用専用のホームページを立ち上げ、制度の概要や登録ページのリンクなどを掲載。さらにその後は、人材獲得に対するモチベーションの高い部門やリーダー層が集まる研修会などに個別に足を運んで説明したり、新入社員に登録を促したり、社内報で告知をしたりと、地道に周知活動を行っています。