キャッチャーに何を要求しているのか
もうひとつ上の段階に行くとすれば、ブルペンにおけるキャッチャーへの指示がある。逆を言えば、そのひとつを見れば、そのピッチャーがどれだけ「自分を知り」、最適な練習をしているかがわかる。
どういうことかと言えば、ピッチャーにはそれぞれ自分の球の軌道の癖のようなものがあり、それを踏まえたうえで投げ込んでいるか、がわかるのである。
僕がブルペンで、右バッターのアウトコースへ投げる練習をするとき、必ずキャッチャーに「左バッターのバッターボックスのライン上に構えてくれ」と指示をしていた。これは、構えたところどおりに投げると「ボール」である。
当然、「ボールを投げる練習」をしているわけではない。
僕の球は、右バッターのアウトコースに投げるとき、ややシュートをして真ん中へと変化する。だから、多くのピッチャーのようにストライクゾーンのギリギリを狙うと甘い球になってしまう。
でも、バッターボックスのラインに向かって投げると、シュートしてちょうど、アウトコース低めに投げられるのだ。
ブルペンに限らず、練習には意図があるはずだ。
「自分を知った」うえで行えているか。試合に役立つものなのか。細かい部分で、差がついていくことは覚えておいて欲しいと思う。
(『OVER 結果と向き合う勇気』上原浩治・著より再構成)