10月16日、シリア北部のアザズからトルコに向かう、自由シリア軍の兵士たち。彼らはトルコの支援を受けている(写真:AP/アフロ)

(PanAsiaNews:大塚智彦)

 シリア北部にトルコ軍が侵攻し、現地クルド人勢力と戦闘状態になっている影響で、これまでシリア国内の収容所に拘束されていた中東のテロ組織「イスラム国(IS)」のメンバーらが「大量脱走」している。このニュースが大きく伝えられ、現地の治安情勢は予断を許さない状況となっている。

 さらに、こうした現地シリアの状況に深い関心を寄せて事態の推移を見守っているのが、東南アジアのイスラム国マレーシアと、世界最大のイスラム教徒人口を擁するインドネシア両国の治安当局だ。

 というのも拘束されていたISメンバーやその家族の中に多くのマレーシア人、インドネシア人が含まれているためで、自国のテロリストが第三国に移動したり、インドネシアやマレーシアなど自国に帰還したりして、新たなテロ活動に乗り出すことへの懸念を強めているからだ。

看守を脅迫し正面ゲートを開けさせ脱走

 インドネシアの国家警察対テロ専門組織「デンスス88」の関係者が地元メディアなどに明らかにしたところによると、シリア北部などの収容所で身柄を拘束されていたインドネシア人のISメンバーは34人で、ISメンバーの妻となったインドネシア人女性やその子供などを加えると拘束されているインドネシア人の総数や約700人に上るという。