米ロ関係悪化で日ロ関係も停滞
「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。行きましょう、プーチン大統領。ロシアの、若人のために。そして、日本の、未来を担う人々のために」
これは9月にロシアのウラジオストックで開催された東方経済フォーラムでの安倍晋三総理のスピーチの一部である。
これについて、ネット上では「まるでポエム」といった意見がみられるなど、停滞する日ロ外交への風当たりは強い。
第2次安倍政権発足後、日ロ関係は領土問題も含め大きな改善が期待されたが、足元では再び停滞している。
9月5日に開催された通算27回目となる安倍・プーチン会談でも日ロ関係に大きな進展は見られなかった。
最大の原因は米ロ関係の悪化だ。やや乱暴な言い方だが、日ロ関係は米ロ関係次第、ともいえる。
近年の米ロ関係を簡単に振り返ってみよう。
2009年に就任した米国のバラク・オバマ前大統領は、悪化したロシアとの関係をリセットすることを目指した。
ブッシュ政権が軍事介入したアフガニスタン・イラクで混乱が続いていたこと、イラクが弱体化した結果イランが台頭したこと、などにより米国は中東でロシアの協力が必要だったとされる。
ロシアもイランとの軍事協力・原子力協力を駆使して、これに応えようとした。