(細野祐二:会計評論家)
日産自動車は、9月9日夜、記者会見を開き、西川廣人社長が9月16日付で辞任すると発表した。9月4日開催の日産自動車監査委員会では、西川社長の役員報酬にかかわる不正受領問題が議論されており、西川社長はこの責任を取って辞任することになった。監査員会に提出された内部報告書によれば、西川社長の役員報酬問題は次のとおりである。
<ケリーらは、2013年、西川CEO(当時代表取締役副社長)から、その役員報酬を増額することの検討を要請された際、当該要請には応じないこととする一方で、それ以前に西川が行使し金額が確定していたSAR行使による報酬につき、その権利行使日が1週間後の日であったかのように偽装することにより、本来の権利行使日前日より高い株価を使って金額の再計算を行うことで、西川から要請のあった役員報酬の増額に代えて、SAR*行使による報酬を約4,700万円(税引前9,650万円)不正に増額して西川に支払った>
*SAR=株価連動型インセンティブ受領権(ストック・アプリシエーション権)