2013年、ワールド・ベースボール・クラッシック(WBC)に日本代表として出場した鳥谷敬。2次ラウンドのオランダ戦で、先頭打者ホームランを放った(写真:Penta Press/アフロ)

 今季は年俸4億円(推定)で締結していた5年契約の最終年。もっぱら代打要員に甘んじて成績も超低空飛行の状態だっただけに、38歳という年齢面も考慮すれば費用対効果には見合わないと判断されるのも確かに無理はない。

 ただ、それはあくまでも「普通の選手であれば」というエクスキューズが付いている場合に限られる。

「阪神でユニフォームを脱いでほしい」という球団のわがまま

 阪神は甘い経営判断によって本来は慎重に交渉すべきだったはずのレジェンド・鳥谷を「タイガースでユニホームを脱いでほしい」というわがままな希望だけが先走り、ドラスティックにばっさり切ろうとしてしまった。もう少しリスペクトする姿勢で接していれば、引退勧告などという一方的でぶしつけな言い方ではなく、互いの希望をすり合わせながら納得のいく着地点を見出すことが出来たかもしれない。

 阪神に籍を置く古参の球団関係者も次のように憤る。

「個人的に言わせてもらえれば、鳥谷は年俸等の条件を大幅に下げてでも本人に納得がいくまで阪神で現役を続けさせていくべきだった。彼は阪神でチームメートやファンが心を震わせられる〝最後のレジェンド〟。唯一無二の存在です。

 結果論を承知で言えば、いきなりの引退勧告がレジェンドを怒らせる形になってしまった。巷で鳥谷に対する引退勧告に関して『何も間違っていない』という指摘もありますが、それはウチの球団のミスを余りにもかばい過ぎです。今回の問題で一番看過してはいけないのは、ウチの幹部たちが鳥谷の現役にこだわる心情を全く理解していなかったということですよ。引退勧告をすれば鳥谷も現状を察し、きっと受け入れてくれると甘い考えを抱いていた。ところが、このザマです。

 とにかく鳥谷と定期的に将来に向けた話し合いをしていなかったことで流れを見誤ってしまった。つまりはリサーチ不足が、すべての原因なのです」