ところがこの件を、ある日本の首相官邸関係者に質すと、怒りを隠さなかった。
「それを言うなら、韓国が徴用工問題を引き下げることが先決だろう。総理(安倍晋三首相)も、同様の意見だ」
つまり日本としては、ワンセットにするのであれば、歴史問題(徴用工問題)+貿易問題+防衛問題の3つでワンセットだというわけだ。
ところが曺国新法務長官は、歴史問題に関して、反日の急先鋒であり、「では法律的に、徴用工問題は取り下げましょう」などとなるわけがない。むしろ、「国家賠償請求と個人賠償請求は法的にまったく別物である」として、日本批判を声高に主張することだろう。言ってしまえば、韓国で激しく対立する保守勢力と革新勢力を結びつけるものは、「反日」しかないからだ。
そうなると、日韓関係は、このまま袋小路の状況が続くことになる。だが、11月22日のGSOMIA破棄の期限が迫るにつれて、ある意味、日本以上に怒り心頭に達しているのがアメリカだ。アメリカは、このまま黙っていないだろう。
米国が「文在寅政権転覆」に動く可能性
曺国氏問題の影に隠れて、日本ではほとんど報道されていないが、9月8日、韓国メディアは、韓国外交部の金泰珍(キム・テジン)北米局長と金丁漢(キム・ジョンハン)アジア太平洋局長が、5日にワシントンを訪問していたことを報じた。韓国外交部の両局長が、こっそりと訪米すること自体、異例である。同盟国のアメリカに呼びつけられ、GSOMIA破棄を撤回するよう求められたことは、間違いあるまい。
だが、ここからは方程式を解くようだが、韓国の両局長は、「GSOMIAの継続は、日本が韓国をグループAに戻すこととワンセットだから、文句があるなら日本に言ってほしい」と、アメリカ側に釈明したに違いない。だが日本とすれば、2つではなく、徴用工問題も含めて3つでワンセットだ。そして曺国新長官の就任とともに、徴用工問題の解決は遠のいた。
となれば、やはり日韓GSOMIAは、定められた通り、11月22日に破棄されるしかないのである。
そうすると、そこからボールは、アメリカに移ることになる。端的に言えば、アメリカは「文在寅政権の転覆」を画策し始める可能性がある。