(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
2019年7月30日、日本自動車工業会は第46回東京モーターショー(2019年10月24日~11月4日)の開催概要を発表した。その内容を見て、多くの自動車業界関係者が「噂では聞いていたが、まさかここまで大きく変わってしまうとは・・・」とため息をついた。
開催テーマは「OPEN FUTURE」。「開催地も、お客様も、出展者も、すべてを”オープン”にして”未来”を届ける。それが、クルマ業界だけではなく、様々な業種や領域と手を取り合って、”人々がワクワクする未来”を提示すること」と定義している。
開催地はこれまで通りの東京湾岸地域なのだが、有明エリアと青海エリアに分散し、その間を約1.5キロメートルの屋外通路であるオープンロードで結ぶ。オープンロードや青海エリアとなるトヨタの大型施設メガウェブなどは入場が無料となる。有料(前売り1800円、当日2000円)となるのは、東京ビッグサイト西展示棟・南展示棟、および青海展示棟である。
有明エリアと青海エリアとの移動は、東京新臨海交通「ゆりかもめ」と無料シャトルバスを使うという、東京モーターショー史上初となる、会場を分散しての開催である。
エリア分散型となった理由は、これまでショーの主要会場だった東京ビッグサイト・東展示棟が2020年東京オリンピック・パラリンピックのメディアセンター等の施設に改修され、その分を他の地域へ割り振らなければならなかったからだ。
筆者は、2回前の東京モーターショーが開催された2015年に主催関係者らからこの状況を伝えられ、2019年開催ショーの初期検討案に対して意見を述べている。だが、その後、世界の自動車産業に空前の大変化が起き、東京モーターショー2019を取り巻く環境にも大きな影響が及ぶことを当時は予測できなかった。