社風が大きく異なる3社の合併によって誕生した東京海上日動システムズ。会社は巨大になったが、社員間には大きな溝が生じるという大きな問題が生まれた。
その難問に真正面から取り組んだのが横塚裕志社長だった。その成果が、1つの形として表れたのが、社員の自主的な活動によって生まれた「Happy Work & Life Style Project」(通称ハピプロ)である(第1回参照)。
トップが信頼できるからモチベーションが高まる
社員の側から見ても、経営者との信頼関係が職場のやりがいに直結していると言えるだろう。ハピプロのメンバーの1人である稲原真生氏は、ハピプロの取り組みと経営者との関係をこう語る。
「他社の方々から話を聞くと、ダイバーシティーを促進するに当たって一番大変なのは経営者から理解を得ることだと言います」
「当社では、経営者がまず理解してくれる。活動を開始した当初に、『10個の提案』という提案書を会社に提出したのですが、その10項目すべてを実施するという回答をいただきました」
実際に、ハピプロが提出した10項目の提案は、すべてその年度内に実行された。この10項目のうち3つを紹介しよう。
勤務時間を短縮する「育児時短」という制度を利用している社員が、時短で働いているということを周囲に理解してもらうための「育児マークキーホルダー」。
妊娠・出産・育児に当たってワークスタイルが変化する社員と上司のための「休業時マニュアル」の配付。
育児にウエイトを置きたい管理職として「時間」と「部下」に制約を設けられる「セレクトSP」という新しい職制の導入。