2004年、母体が異なる会社が合併して誕生した東京海上日動システムズ。社員を信頼し切る社長が進めた組織の壁を越えた交流が、社員一人ひとりの個性を大切にした自律型組織として働きやすさを生み出している。

 他人との競争ではなく、自分の能力をいかに高めて組織に貢献できるか――そうした発想の中で「世界一」の企業を目指す。

3社合併によって起きた働き方改革

 東京海上日動システムズは、2004年に東京海上システム開発、日動火災システム開発、東京海上コンピューターサービスが合併して誕生した、東京海上グループ全体のIT戦略を担うシステム会社だ。

 合併前、それぞれ300人前後の規模だった会社が1気に約1400人もの大所帯となった。以前はある程度社員同士が顔なじみで、困ったことがあれば誰に聞けばいいか分かっていたのが、急に顔と名前が一致しない規模になってしまった。

 そのため、コミュニケーションが希薄になる、社員同士がお互い何をしているのかが分からないといった縦割り組織の弊害、いわゆる「大企業病」と言われる問題が持ち上がるようになった。

 組織風土が異なる3社の合併ということもあり、社員には不安や戸惑いもあった。

 こうした状況に対して、真っ先に改善に乗り出したのは現場の社員たちだった。合併直後の社内の雰囲気に不安を感じた数人の現場社員が自主的に集まり、全社員に対しての意識調査を行った。

組織の壁を越えて社員同士の交流を図る

 同時に、合併前の各社の代表者が、東京海上日動システムズとして一体となって仕事をしていくための意見交換を行った。これが発展して、2005年に「ワークスタイル改革委員会」(以下、改革委員会)として正式に活動を開始。

 以来、「組織の壁を越えた社員同士の交流を促進する」「より良いシステムづくりに活かすために、お客様や社外を知る」という2つの活動方針の下に「ワクワクワークスタイル改革活動」という名称で様々な取り組みを展開し、2009年度には取締役会直轄の組織として組織図に記載されるまでになった。

 改革委員会は2010年6月で4期目を迎え、現在は30代の社員を中心に、30人のメンバーが活動している。