個人的な話で恐縮だが、先週まで米国でドナルド・トランプ政権と大統領選の取材をしていた。
滞米中、全米最大の書店バーンズ・アンド・ノーブルがヘッジファンド企業に買収されたニュースが流れた。
同社の苦境は今に始まったわけではない。出版業界の低迷から、「あのバーンズが倒れるかもしれない」との話は数年前からあった。
日本で言えば紀伊国屋書店が身売りすることに等しく、ある意味で時代の趨勢を物語っている。
近年は減収減益に見舞われ、書店数もピーク時から100店舗ほど少ない627店にまで落ちていた。
それに代わってアマゾンが業界の雄にのし上がり、5月中旬に発表された数字では、全新刊本の77%がアマゾン経由で販売されるまでになっている。
バーンズの身売りは、本そのものが読まれなくなっていると同時に、紙の書籍もネット通販か、電子書籍で読む流れがさらに加速していることの表れだ。
アマゾンは逆にアマゾンブックスという実店舗を大都市中心に増やしつつある。それでも書店が苦しい立場にあることは変わらない。