消費経済を回すためにはプライベートな時間を大事にするカルチャーの醸成が必要だ(写真はイメージ)

「令和」の時代がいよいよスタートした。近代以降の日本では、改元が行われるタイミングと時代の変化は不思議な一致を見せてきた。今回の改元も、大正から昭和の時代に匹敵する大きな変化が到来する可能性が高い。令和の時代においてキーワードとなるのは「個人主義」と「コンパクト化」の2つだろう。 (加谷 珪一:経済評論家)

全世界的に民主主義は危機を迎えている

 今回の改元は、上皇さまの生前退位という英断によって実現した。これまでは、天皇陛下の崩御にともなって改元が行われてきたので、元号や皇室のあり方について活発に議論する状況にはなりにくかった。ところが今回の改元では、賛否両論を含め様々な意見が交わされるなど、以前とはまったく違った雰囲気になった。

 上皇さまが生前退位を決断した背景には深い意味があるが、国民の議論が活性化したことひとつをとっても、生前退位の意義は大きかったといってよいだろう。

 では、新しく迎えた令和の時代はどのように推移するのだろうか。

 残念ながら日本の国力は目に見えて衰えており、主要先進国の地位から脱落する可能性は日増しに高まっている。だが世界情勢も大きく変わっており、主要国であることの意味もまた変化している。

 かつて主要国というのは、圧倒的な経済力を持ち、かつ民主主義が高度に発達した国のことを指していた。旧ソ連は大国だったし、その後を引き継いだロシアもある部分では大国としての側面を持っていたが、基本的人権が守られない国は、主要国としては振る舞えないというのが戦後社会の大原則であった。