グレタ・ガルボ主演のハリウッド映画『クリスチナ女王』(1933年)のポスター(出所:Wikipedia)

(佐藤 けんいち:著述家・経営コンサルタント、ケン・マネジメント代表)

 時代は「平成」から「令和」へと変わり、先々週の土曜日から始まった長い「10連休」もようやく終わった。皆さんは連休をどう過ごされたことだろうか。本日(5月7日)から仕事が始まるという方も、少なくないことだろう。

超訳 自省録 よりよく生きる』(マルクス・アウレリウス、佐藤けんいち編訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2019)

「平成」最後の月となった先月末のことだが、編訳者として『超訳 自省録 よりよく生きる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出版した。第16代ローマ皇帝でかつストア派最後の哲学者とされるマルクス・アウレリウス(紀元121~180年)の『自省録』を、現代人のための自己啓発書として、内容を精選して、内容別に配列し直して再構成したものだ。

『自省録』には、こんな文章があるので紹介しておこう。連休明けにはふさわしい内容かもしれない。

夜が明けても起きるのがつらいとき、自分にこう言い聞かせてみよう。「私は、人としてのつとめを果たさなくてはならない。そのために生まれてきたというのに、なんで不平不満を口にすることができるというのだろう? それとも、まだ寝間着を着たまま毛布にくるまって、まどろんでいたいというのだろうか?」(以下略)

 

 早起きを習慣にしたい人は、ぜひ繰り返し読んで、自問自答してみることをお薦めしたい。さっそく明日の朝には想起してほしい文章だ。私もときどき「人としてのつとめを果たさなくてはならない」と、自分に言い聞かせてベッドから出ることにしている。

毎朝5時に起床していた女王クリスティナ

 マルクス・アウレリウスの『自省録』の愛読者は多い。そのなかでも著名な人といえば、17世紀スウェーデンの女王クリスティナと18世紀プロイセンの啓蒙専制君主フリードリヒ大王、20世紀のネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領と、21世紀のトランプ政権の国防長官だったマティス米海兵隊退役大将をあげることができる。

「哲人皇帝」マルクス・アウレリウスを「偉大な手本」として生きたのが、スウェーデンの女王クリスティナ(1626~1689年)である。といっても、クリスティナ女王について知っている人はあまりいないのではないだろうか。今回は、そんなクリスティナ女王と彼女が生きた激動の時代について、取り上げてみたいと思う。

クリスティナ女王の肖像画(出所:Wikipedia)

 いまから85年も前のことになるが、クリスティナ女王については、『クリスチナ女王』(1933年)というタイトルでハリウッドで映画化されている(冒頭の写真)。「男装の麗人」クリスティナ女王を演じたのは、おなじくスウェーデン出身の大女優グレタ・ガルボ。だが、それ以降ハリウッドではリメイクはされていない。男役が魅力の宝塚の舞台にはもってこいだと思うのだが、現在のところ、それもない。もちろん、映画はエンターテインメントであるので、大幅に史実を脚色していることは言うまでもない。