(花園 祐:中国在住ジャーナリスト)
今年(2019年)3月に放映を終えたNHKの連続テレビ小説「まんぷく」では、インスタントラーメン(以下「即席麺」)の生みの親である日清食品ホールディングスの創業者、安藤百福の半生がモデルとして描かれました。
安藤百福が生み出した即席麺は今や世界中に普及し、筆者が暮らすラーメン発祥の地、中国でも日常的に食べられています。
現在、中国は即席麺の世界最大市場です。しかしここ数年は市場規模が縮小し、「中国人の即席麺離れ」とも言うべき現象が見られています。背景にはフードデリバリーサービスの普及や、健康志向の高まりなどが指摘されています。そのような中、即席麺の高級化路線に力を入れるメーカーも現れるようになりました。
そこで今回は、異変が起こりつつある中国の即席麺市場を取り上げ、その最新動向を紹介したいと思います。あわせて筆者の試食レポートもお届します。
2013年のピークから70億食も減少
世界ラーメン協会(WINA)の世界の国・地域別即席麺需要データ(2017年)によると、中国(香港含む)の年間即席麺消費量は389.7億食。2位のインドネシア(126.2億食)の約3倍と堂々の1位につけています(下のグラフ)。
(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56217)
3位の日本の消費量は56.6億食です。中国は日本の約7倍の市場規模を有していることとなります。ただ、中国の人口が日本の約10倍であることを加味すると、1人当たり消費量では日本の方が上回っています。
さて、下の表は国・地域別即席麺需要トップテンの2013~2017年の消費量をまとめたものです。