殺害された金正男(キム・ジョンナム)の息子「ハンソル」を、安全な国に亡命させた北朝鮮反政府組織「千里馬(チョルリマ)運動」が「自由朝鮮」と名を変えて、金正恩(キム・ジョンウン)政権に表立って刃向かう行動を開始した。
「自由朝鮮」が在スペイン北朝鮮大使館を襲撃し、貴重資料が入ったパソコンを盗み出し、米国のFBI(米連邦捜査局)に提供したという。
その後、諜報工作機関でもある米国のCIA(中央情報局)に渡るのは当然だ。
また、金日成(キム・イルソン)主席や金正日(キム・ジョンイル)総書記の写真を床に叩きつけた映像を公開し、「北朝鮮臨時政府の発足」を発表した。
今のところ、正恩政権を揺るがすほどの影響を与える勢力ではないが、警備が厳しい大使館を襲撃してパソコンを盗み出すことは、自由朝鮮のメンバーだけではできない。
パソコンの中に「暗号解読キー」が入っていたとしても、CIAやNSA(米国家安全保障局)のような情報機関でなければ、暗号は解けるものではない。つまり、米国の諜報工作機関が支援していると見ていい。
この反政府組織が北朝鮮の工作員に見つけ出されれば、簡単に殺害されてしまうだろう。
一方、ハンソルは、北朝鮮をまともな国に改革できる人物であり、北朝鮮本国の人民や諸外国に逃れている人民にとっては、待ち望まれた人物である。
これから生まれる数々の反政府勢力をまとめあげられる唯一の人物であろう。そして今、正恩政権崩壊後の正当な受け皿はできた。
北朝鮮国内で、これまでもクーデターや暗殺未遂とみられる動きはあった。
だが、「自由朝鮮」のように、ハンソルを助けて反政府勢力のシンボルを「錦の御旗」として担ぎ上げ、正恩政権を打倒する目的で作られた組織が、公然と反旗を翻したことは、北朝鮮の歴史が始まって以来の危機へのターニングポイントだ。