韓国を代表する航空会社である大韓航空とアシアナ航空が、同時期に「オーナー経営の危機」を迎えている。
多くの問題を抱える韓国の財閥の中で、どうして「航空財閥」が深刻な事態に陥ったのか。
「偶然と言えば偶然だが、共通点も多い」
大韓航空とアシアナ航空で相次いで起きたオーナー経営を巡る問題。一見すると全く別の問題ではある。
大韓航空のオーナー、失意の急死
大韓航空の場合は、同社を傘下に持つ韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ=1949年生)会長が2019年4月8日、滞在先の米国で病死したことで一気に状況が緊迫した。
趙亮鎬氏にとっては何ともやるせない「最後の日々」だった。3月27日の大韓航空の株主総会で登記理事(取締役に相当)再任案が否決されてしまった。
韓国の財閥オーナーの登記理事再任が総会で否決されたのはこれが初めてのことだった。
「ナッツリターン事件」を起こした長女や、取引先や部下に暴言を吐いた夫人や次女の事件など身内に不祥事が相次いだ。
趙亮鎬氏自身も背任や横領で起訴され、こうした一連の「オーナー家の暴走」に株主が反発したのだ。
趙亮鎬氏にとっては失意の日々だったはずだ。