業績向上を目的とした組織改革や人材開発、リーダー開発の加速に向けてエグゼクティブ・コーチングを提供するコーチ・エィの「Coach's VIEW」から選りすぐりの記事をお届けします。
ケーキも仕事も、すべて準備されているのが良いとは限らない。

(文:コーチ・エィ 番匠武蔵)

 マネジメントに1on1を取り入れる企業が日本でも増えています。

 1on1とは、上司と部下などが1対1で定期的に行う面談のことで、毎週もしくは隔週で30分実施するというケースが多いようです。

 上司も部下も忙しい中、時間を確保して1on1を実施することを考えると、上司としてはできるだけこの時間の投資対効果を高めたいと考えます。

 そのため、部下が何に取り組むと最適か、何をテーマに話すのか、対話の内容をあらかじめ検討し、入念に準備することもあるかと思います。

 私はコーチとして数多くの1on1を実施していますが、そのような準備が、場合によっては逆効果になると感じることがあります。

 アメリカの教授ダン・アリエリーがTEDで話した「イケア効果」というものがあります。

完璧なケーキミックスが売れないのはなぜか?

 1940年代。ある食品会社が、ケーキミックスの粉を発売したそうです。水に入れてかき混ぜ、オーブンに入れるだけでケーキを作ることができるという、当時としては画期的な商品でした。

 しかしこの商品、味には問題ないのに、あまり売れなかったそうです。なぜか?