米国でいま、消費者が企業を訴えられない状況が生まれている。
例えばオンラインで購入した商品が原因で、子供がケガをしたとする。訴訟大国と呼ばれている米国ではこれまで、親が弁護士を雇って訴訟を起こす流れがあった。
だがいま、企業を訴えることが難しくなりつつあるというのだ。いったいどういうことなのか。
2月下旬、カリフォルニア州立大学デービス校ロースクールが監修する法律専門誌に1本の論文が掲載された。タイトルは『米企業による消費者仲裁合意の蔓延』というものだ。
端的に述べると、米企業が顧客に訴訟を起こさせないような法的防止策を講じ始めたという内容である。
論文の執筆者はロヨラ大学ニューオリンズ校のイムレ・サライ法学部教授で、企業側はアービトレーション(仲裁)という法的手段を使って、消費者に訴訟を起こさせない方策に出ているという。
訴訟を起こす市民の権利を奪っているとの指摘もある。
同教授が調査したところ、米フォーチュン500の企業中、トップ100社のうち81社が、すでに企業戦略として顧客(消費者)にアービトレーション条項を合意させていることが分かった。
特にオンライン・ショッピング時に注意が必要だ。