南欧でたどった源流、チョコは「飲み物」だった

「ホットチョコレート」と欧州の歴史を紐解く

2019.03.01(Fri)佐藤 成美

 脂肪分の少ないココアはさらりとした飲み物である。ホットチョコレートとココアの明確な区別はないが、機内で飲んだホットチョコレートはさらりとしていたから、ココアに近い。一方、濃厚なスペインのホットチョコレートは、ココアが生まれる前から飲まれていたホットチョコレートの形に近いのだろう。

 ココアは、現在私たちが食べている固形のチョコレートが生まれる要因にもなった。1847年にイギリスのジョセフ・フライは、ココアを製造するときにできる脂肪分(ココアバター)を細かくすりつぶしたカカオ豆に加えた。脱脂と逆の発想で、脂肪を多く含むチョコレートは冷えると固まった。この固形のチョコレートは甘くおいしかった。

 さらに、スイスでミルクを加える技術やチョコレートを練る技術が発明され、現在の滑らかで口当たりのよいチョコレートになった。

 スペイン人が中米から持ち帰ったチョコラトルはホットチョコレートへ、そしてヨーロッパに広がりココア、さらに固形のチョコレートへと姿を変えていったのだ。

チョコレートを飲む国、食べる国

 チョコレートの消費量が多い国の上位はヨーロッパが占める。統計の種類や年度によって違いはあるが、イギリスやスイス、ドイツなどの消費量上位国は、1人あたり年間10kgほどのチョコレートを食べている。

 日本チョコレート・ココア協会が公表している世界主要国のチョコレート消費量(2015年)では、ドイツが11.7kg、スイス10.2kg、ノルウェー9.4kgだったが、スペインは3.4kgと、他のヨーロッパ諸国と比べるとあまり多くない。だが、私が訪れたバルセロナやマドリードでは、ホットチョコレートに加え、チョコレートがけしたクッキーやパンなどチョコレートを使った食べ物が多くあり、チョコレートが生活に溶け込んでいた。

 スペインでは、チョコレートを「飲む」からチュロスなどに「付ける」に、さらにお菓子やパンに「かける」というように、飲むの延長として食べ方が発展したのではないだろうか。スペインは固形チョコレートを食べるのはなく、チョコレートを飲む文化なのだろう。

チュロスやチョコレートがけポラス(太いチュロスのこと)とホットチョコレートの組み合わせ。スペイン、マドリードのチョコレートとチュロスの専門店にて。
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