(文:山田敏弘)
2013年に米機密情報を暴露した元米中央情報局(CIA)職員のエドワード・スノーデンは、世界で最も有名な内部告発者の1人だと言える。
スノーデンが初めてインテリジェンスの世界に足を踏み入れたのは、2005年のことだった。彼は、米国家安全保障局(NSA)が関与する研究施設で警備職に就いたことを皮切りに、そのコンピューター技能が買われ、翌年にはCIAに採用された。2009年にCIAを退職した後は、NSAにコンピューター専門家を派遣していた米IT大手企業の「デル」に入り、NSAのコントラクター(請負職員)として東京・福生市にある米軍横田基地などに勤務した。
2012年3月、スノーデンはデルからの派遣という形でハワイのNSA支局に異動。そこで、米コンサルティング大手「ブーズ・アレン・ハミルトン」から派遣されていた女性NSA職員の目に留まり、NSAの工作チームのメンバーに抜擢された。この人事により、スノーデンはさらなる機密情報へのアクセスが許されるようになった。
それからしばらく経った2013年6月、スノーデンは突然、香港に出現。米政府の世界的な監視活動をはじめとするNSAの機密情報をメディアで大暴露したのだった。
当時、非難の矛先は、スノーデンを重用したこの女性職員にも向けられたという。国家を裏切ったスノーデンに、より機密性の高い情報を扱えるようにした張本人だからだ。
実名でUAEのハッキングを暴露
それから5年――。自身もハッカーであるこの元NSA女性職員が今、メディアのスポットライトを浴びている。
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