家事が上手で、小柄で、サラサラな黒髪――。近藤さんは米国人が単純に思い描く日本人の女性像に一致する。あえて日本語で話す戦略は現時点では成功しているように思う。ただ長年欧米に住む筆者としては、「こうした日本人女性のステレオタイプが定着するのは時代に逆行するのではないか」との懸念もある。特に、コメディアンの番組にゲスト出演した際に、洗濯物に顔をうずめてスカートをヒラヒラさせながら「ときめく」感じを表現してみせたときには「小学生じゃないんだから」と感じてしまった。

「こんまり」が欧米人が抱く日本人女性像に

 当のコメディアンは近藤さんを紹介するときに「タイニィ(小さい)」と「タイディ(整然とした)」を言い間違えた。だが、その後「あなたは小さい女性だからいいわよね」とその場をごまかし、大笑いしていた。英語で言い返されないことを前提に、やや「いじり」がすぎるかなと感じる場面だった。同じく在米歴の長い日本人女性たちにこの話しをすると、同じ番組を見て「近藤さんがバカにされているように感じた」と言う人もいた。

 気になって日本で活躍していた頃の近藤さんの動画を見てみたが、テキパキしたキャリアウーマン風の話し方だった。現在のやや幼さを感じさせる振る舞いは世界進出を見据えた演出なのかもしれない。

 現在、近藤さんは米西海岸に拠点を移しているという。米国や世界で活躍する機会が増えれば、日本人女性といえば近藤さんの姿を思い浮かべる非・日本人が増えることを意味する。これから近藤さんが欧米社会でどんな日本人女性像を提示していってくれるのか。彼女の活躍に注目しているのは米国人以上に、日本人女性なのかもしれない。