「テラス席勝負」を想定したオーダー

 ただ、それよりも最後は「テラス席勝負」かな、と考えた。こういった試合は1点勝負の接戦になることが多く、では、いったいどうやって1点をもぎ取るかとなったとき、やはりホームランの威力は計り知れない。特にヤフオクドームは、ホームランテラス席が設置されて以来、そこで生まれる得点が確実に増えていた。ミランダのストレートか、あるいはチェンジアップを誰かがうまく引っ掛けて、テラス席まで運ぶ。得点を挙げるには、その確率が一番高いと踏んだ。

発売間もなく重版が決まるなど、反響を呼んでいる栗山英樹の著書『稚心を去る』。橋本左内の言葉から取ったという本書のタイトルが示すように、現役最長8年目を迎える栗山英樹のマネジメント哲学、ファイターズの組織論そしてチームの秘話がが記されている。

 そうすると2番にはやはり大田泰示がいたほうがいい。ピッチャーのタイプは関係なく、テラス席勝負と読むなら、大田のボールを遠くへ飛ばす能力は魅力だ。

 レアードがいてくれたら状況は少し違っていた。真ん中にホームランバッターを並べられるのであれば、前後はピッチャーとの相性で考えることもできる。でも、そのレアードが左脇腹を痛め、戦列を離れていたあの状況では、ここからスタートするのがベストに思われた。

上沢の投球を不用意だとは思わない

 先述の通り、たしかに「テラス席勝負」という考え方からオーソドックスなオーダーになったのだが、それ以前に、初戦は先発の上沢直之にかけた試合だった。誰かのホームランで2点を取って、上沢がホークス打線を1点に抑える。2対1で勝ち切るイメージだ。