そのとき、階段を降りてくる人がいました。近所に住む彼女の友人です。
わたしが挨拶をすると、「あなたは、胃が疲れている。あまり考えすぎないほうがいいよ」と言いながら葉を摘み取り、手渡してくれました。「このハーブは、あなたの体調を助けてくれるでしょう」。
びっくり。胃が疲れていたのは本当でした。前夜、トラーパニの総菜屋で買ったライスボールがよくなかったようです。揚げ油が身体に合わなかったのかもしれません。
その友人女性は、医療従事者だそうです。顔や体型を見ただけでその人物の既往症がわかり、ハーブで治療しようと試みていると聞きました。不思議な出会いがあるものだと思い、その出来事を忘れないために、いただいたハーブと一緒に、彼女の写真を撮りました。
前編で書いたように、エーリチェは紀元前からという長い歴史を持つ町です。古い建物も多く、町のいたるところに歴史を感じさせるたたずまいを見ることができます。私は風景を撮るのが得意でないのですが、それでも思わず「撮らなきゃ」と食指が動いてしまいます。