1月24日、アメリカ海軍ミサイル駆逐艦「マッキャンベル」と補給艦「ウォルターSディール」が南シナ海から台湾海峡を通過して東シナ海へと抜けた。アメリカ海軍艦艇による台湾海峡通過は、昨年(2018年)の10月下旬からは4カ月間で3回と、ペースが上がっている。
FONOPと台湾海峡通航の違い
アメリカは、南シナ海の西沙諸島や南沙諸島での中国の過剰な海洋主権の主張を牽制するという名目で、「FONOP(公海での航行自由原則維持のための作戦)」を断続的に実施してきた。
アメリカの真意は、南シナ海での中国による軍事的優勢の拡大を抑制することにある。しかしながら表向きには、あくまでもFONOPは軍事的威嚇ではなく、国際海洋法秩序の維持という大義名分を掲げている。そのため、「中国が主権を主張する海域において、基準としている線の引き方が国際ルールをないがしろにしている」、または「中国が主権を主張する海域を外国軍艦が航行する場合に事前に中国当局に通知せよという中国政府の要求は、国際海洋法秩序とは相容れない」といった“国際法的”な疑義を呈して、南シナ海でのFONOPを実施しているのである。
ところが、アメリカ軍艦が台湾海峡を通航するのはFONOPではない。たとえ「台湾は中国の一部であり台湾省である」という中国政府の主張に従ったとしても、台湾海峡は中国の主権とは抵触せずに通過することが可能である。