2019年1月15日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)大統領は、青瓦台(大統領府)に130人近くの韓国の企業人を招いて「企業人との対話」という懇談会を開いた。
「経済重視」を打ち出している大統領が、主要財閥総帥を全員招集して意見を聞く会合だった。2時間以上にわたった懇談会で財閥総帥は何を話したのか。
きわめて珍しい光景だった。ソウル中心部にある大韓商工会議所。12時半頃から韓国を代表する財閥総帥たちが続々と黒塗りの高級車で乗りつける。
○財閥総帥全員集合○
李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)サムスン電子副会長、鄭義宣(チョン・ウィソン=1970年生)現代自動車グループ総括首席副会長、具光謨(ク・グァンモ=1978年生)LGグループ会長、重光昭夫(辛東彬=シン・トンビン=1955年生)ロッテグループ会長・・・。
さらに、ハンファグループ会長、ポスコ会長、KT会長なども続々と登場する。
韓国を代表する財閥総帥や大企業トップが、これだけ一堂に揃うのはめったにあることではない。
この日、文在寅大統領は午後2時から青瓦台で「2019 企業人との対話」という行事を開催することになっていた。総勢130人近く。
幹事役を務めた大韓商工会議所は、青瓦台に入る際の混乱を避けるために企業人を一度、大韓商工会議所に集め、バスで揃って移動することを決めた。
出発直前に到着したSKグループの崔泰源(チェ・テウォン=1960年生)会長を含め、財閥総帥が普段はめったに乗ることもないバスに乗って出発した。
韓国メディアによると、参加者は大韓商工会議所が選んだ。以前の政権なら、財閥総帥の取りまとめ役は、全国経済人連合会(全経連)と決まっていた。
ところが、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の一連のスキャンダルで、財界の資金集めの先頭に立ったとして、全経連はいまや「積幣」の対象だ。
今の政権は、こうした行事は、大韓商工会議所と協力するようになった。