ハイブリッド機と書いたが、ハイブリッド車とは原理が異なる。厳密には、電気式ディーゼル機関車やガスタービンを用いたターボエレクトリック推進方式の船舶に近い。

 この方法であれば、超大容量の電池は不要であり、現実性はぐっと高まる。

 実際、エアバスはリージョナルジェット機の「BAe146」にガスタービンと発電機を積み、4基のエンジンの1基をモーターで置き換えた試験機を開発するとしている。

図3 エアバスのハイブリッド旅客機の試験機予想図(出所:エアバス社ウエブサイト)

 しかし、何のためにそんなことをするのかと感じた方も多いだろう。特に航空機に詳しい方は、違和感を覚えたのではないだろうか。

 航空機は軽量であることが命。余計な重量は燃費を悪化させるので、合理的ではない。素直にガスタービンをジェットエンジンとすれば、モーターや配線は要らないはずである。

 余計な重量を積み込むため、その重量分、普通のジェット機より燃費は悪くなる。大容量の電池もないため、電力の回生も難しい。

 電気で飛ぶとはいえ、自らに積んであるガスタービンで化石燃料を燃やして飛ぶので、電動化による二酸化炭素排出減もない。

 BAe148を改造したエアバスの電動航空機の試験機はストレートに普通のBAe148より環境に悪いのだ。では、どうしてそのようなわけの分からないことをするのだろうか。