モラー氏のチームが1年半以上もかけて捜査してきた結果が、同文書に散りばめられており、最終報告書を待たずとも、すでにトランプが追い込まれたと考えない方が不思議である。

 トランプの顧問弁護士と選挙対策本部の委員長が刑務所に入るのである。「自分は何も知らない」と言い続けられるわけがない。

 けれどもモラー氏は今年4月、トランプを起訴の対象から外したと発言している。それによりロシア疑惑は収束するかに思えた。

現職の大統領を起訴できるか

 しかしロシア疑惑を追っているジョージタウン大学講師でジャーナリストのガレット・グラフ氏は次のように指摘し、トランプ起訴の可能性を示唆する。

 「まだ最悪の結末を迎えているわけではありません。過去2年、トランプは自分の無罪を主張してきましたが、覆われた皮が1枚1枚剥がされていくような状況になっています」

 ここで問題になるのが、現職大統領を起訴できるかということだ。

 行政府の首長である大統領は、起訴免除という免責特権を持つと言われている。

 違法行為があったとしても現職期間中は起訴を猶予し、大統領の任期が終わった後に裁判を行うという流れだ。