米国はこの辺りの事情をよく理解した上で、中国に貿易戦争を仕掛けている。貿易戦争の真の目的は貿易赤字削減より、貿易に難癖を付けることによって、低下傾向にある中国の経済成長率を一層鈍化させて、それによって不動産バブルを崩壊させることにある。不動産バブルが崩壊すれば、共産党の支持基盤である都市に住む富裕層やアッパーミドルが最も被害を被る。“金の恨み”は恐ろしい。支持層が共産党を憎むようになる。
そうなれば、かつて日本がそうであったように、政権は不安定化する。共産党が国力を集中して情報やハイテク産業を育成することができなくなる。米国はそれを狙っている。
「あと50年は我慢すべきだった」
米国の戦争目的、そして戦略は明確であり、それを一般の市民も支持している。一方、中国は“ことの弾み”で戦争に突入してしまった。明確な戦争目的も、戦略も、そして一般の市民の支持もない。ある中国人は、あと50年は我慢(韜光養晦)すべきだったのに、アホな習近平が出てきて、全てを台無しにしてしまったと言っていた。
中国は世界第2の経済大国である。短時間で勝負がつくことはない。しかし、おそらく数年から10年程度の後に、中国は米国の覇権の下で生きることを認めざるを得なくなるだろう。その時、中国は現在と全く異なる体制になっている可能性が高い。この戦争は米国の勝利で終わる。