マレーシアは、マハティール氏が前任の首相時代にも、日本政府から最長40年間の長期低利貸付(0.7%)を受けていた。
サムライ債は、円建ての中では利回りが高く、諸外国の政府や企業が調達した円をドルに戻すコスト面でも有利だ。
マレーシアの財政再建の救世主になると大きな期待が寄せられており、マハティール氏も「マレーシアの財政問題解決の策を提案いただき感謝している」と安倍氏に謝意を表明した。
日本円にして27兆円を超える債務を抱える国に、ある意味、「大判振る舞い」を表明した日本政府。
その狙いは「中国からの借金を日本の財政支援で返済することで、マレーシアの『中国による債務トラップ』の箍を外し、『中国による依存度』を軽減するところにある」(政冶アナリスト)。
それだけでなく、「国際的に信用評価が高い“サムライ支援(ジャパンマネー)”で中国を牽制するとともに、マレーシアだけでなく、地域への日本の覇権を高めることだ」と見られる。
アジアへの中国の覇権阻止があるが、もう1つの背景は、トランプ政権後の米国のアジア軽視による影響力激減と、アジア域内でのリーダーシップの欠如がある。
日本にとってはASEAN(東南アジア諸国連合)を見ただけでも、「マハティール首相以外、強いリーダーシップを持ち、域内の指導者に影響力を持つ政治家が現在いないこと」(アジア政冶史専門家)が大きい。
安倍首相も「ルック・イースト政策で日本の経済発展を模範に国の発展を引っ張った、36年間という長年の友人であるマハティール首相に深い敬意を示したい」と語る。
あらゆる面での支援をスタンバイさせることで、日本の影響力を拡大したい狙いがある。