一方、こうした日本の動向にいち早く対抗しているのは、紛れもない中国だ。

 日本がマハティール氏に秋波を送る一方、次期首相と目されるアンワル元副首相に影響力を及ぼそうと画策している。

 マハティール氏は10月初旬に訪れたロンドンでのBBCとのインタビューでも「2年後に首相の座をアンワル氏に禅譲する」と明言している。

 しかし、双方の間で具体的な時期は約束されていなく、11月3日、訪日前の記者会見では「アンワル氏の許しをもらえば、2年半後になるかな(笑)」と冗談交じりに禅譲時期をカモフラージュして、記者団に語っている。

 しかし中国の目は、すでに「ポスト・マハティール」を据えているのだ。

 2度の投獄により、刑務所生活を余儀なくされたアンワル・イブラヒム元副首相。

 5月に国王の恩赦を受け3年ぶりに釈放された直後、日本のメディアで初めて筆者のインタビューに応じたアンワル氏は「数か月後に下院の補選で勝利し、国会議員に復帰したい」と早期の政界カムバックを誓っていた。

(参考:「マレーシア”陰の首相”、戦略的パートナー日本に期待」 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53166

 その言葉通り10月の下院補選で政界復帰を果たし、国会議員に返り咲いた。それから10日後の10月24日、北京の中国人民大学の招聘で一帯一路のフォーラムで特別講演を行った。

 表向きは、大学招聘という形式になっているが、実際は、中国政府の招待だ。

 同大学は、中国国内でトップレベルの研究大学に指定されており、共産党本部の資金が投入されている中国政府配下の筆頭の大学の1つだ。