今年8月9日、経済担当大統領補佐官のアンドレイ・ベロウーソフ氏がウラジーミル・プーチン大統領に宛てた書簡が物議を醸した。
というのも、その中で、ロシアを代表する鉄鋼・鉱業・化学工業などの大手企業14社から、5000億ルーブル(75億ドル=約8000億円)を超える額を追加課税しようという提案がなされていることが明らかとなったからである。
ルーブル安や資源価格上昇で棚ぼた収入
ベロウーソフ氏によると、これら大企業には、企業活動からは直接に起因せずに2017年にルーブル安や資源価格の上昇の恩恵を受けて得た「棚ぼた収入」がある。
また、石油・ガス大企業と比較すると低いとされる徴税を大企業間で「均衡化」するためにも、外的環境要因から生じた「余剰収入」を新たに政府による課税の対象としようというのである。
徴収の目的は、政府の財源確保といわれている。
今年5月に大統領に就任した際に、プーチン氏は4期目となる2018年から6年間の目標を示した大統領令「2024年までのロシア連邦発展戦略の課題と国家目標について」に署名した。
技術革新の加速や、経済社会分野へのデジタル技術導入、世界平均を上回る経済成長と非資源分野での輸出志向セクターの創出などを含む経済目標が設定された。
この「5月令」に示されている戦略目的実現のための財源を確保する必要がある、というのが背景にあるようだ。
「ベロウーソフのリスト」に載った14社とは、ロシアではどれも名高い大企業である。
ロシアの鉄鋼大手は6社ある。ノヴォリペツク冶金コンビナー ト(NLMK)、マグニトゴルスク冶金コンビナ ート(MMK)、セヴェルスターリ、エヴラズ、 メタロインヴェスト、メチェル。そのすべてがリストに入っている。