8月21日、トランプ大統領の元側近が、特別検察官の追及の結果、詐欺行為を働いたなどとして連邦地裁陪審から有罪の評決を下され、さらにもう1人の元側近が有罪の陳述をした。
同大統領の「ロシア疑惑」を捜査する特別検察官にとっては、これまでで最大の成果とも呼べる展開だった。この動きを受けて同大統領は、自分にはなんの罪もなく、捜査は「政治的な魔女狩りだ」と非難した。だが、この展開はトランプ大統領にとって深刻な打撃だとみる向きは多い。今後、どんな事態が起きうるのか。
「ロシアとの共謀」嫌疑には触れず
ワシントン近郊のバージニア州アレクサンドリア連邦地裁で8月21日、2016年の大統領選挙で数カ月、トランプ陣営の選対本部長を務めたポール・マナフォート被告が、陪審による有罪の評決を受けた。ロバート・モラー特別検察官の捜査と起訴による18の罪状のうち詐欺など8件についての有罪評決だった。
同日、ニューヨーク州南部地区の連邦裁では、トランプ大統領の元個人弁護士、マイケル・コーエン被告が司法取引に応じ、詐欺行為や選挙法違反などの有罪を自ら認めた。この事件も、モラー特別検察官の捜査を基に同地区の連邦検事が追及していた。コーエン氏は2016年の大統領選の序盤段階でトランプ氏が過去に性的関係を持ったとされる女性2人に口止め料としてそれぞれ十数万ドルを払ったことを認めた。
2人ともトランプ氏との関係はすでに切れている。とはいえ、大統領選期間も含めて選対本部長、個人弁護士としてトランプ氏の側近だった2人が同じ日に有罪評決と有罪陳述となったのだから、トランプ大統領への打撃は大きいとみられる。