トルコ・イスタンブールの雑踏(資料写真)

 トルコリラ急落の影響が拡大している。金融システム全般には波及していないものの、エルドアン大統領の国粋主義的なスタンスが解決を遠のかせている。トルコリラの暴落と過度のインフレは、中央銀行が問題解決を先送りするとどうなるかを示す典型的なケースといってよいだろう。

もともとリスクが高い通貨と認識されていたトルコリラ

 トルコリラは7月まで、1トルコリラ=24円前後で推移していたが、8月に入って急落。一時は1トルコリラ=15円台まで下落した。米国はすでに量的緩和策を終了し、金利は緩やかな上昇フェーズに入っている。相対的に米ドル運用が有利になっていることから、新興国からの資金流出が懸念されていたが、最初のターゲットとなったのは予想通りトルコリラだった。

 新興国の経済は海外資金への依存度が高く、もともと先進各国の経済政策や金融政策の影響を受けやすい。量的緩和策によって米国経済は低金利が続いてきたが、こうした環境下では、余剰資金が利回りの高い新興国に向かいやすくなるので、新興国における資金調達は容易になる。

トルコ通貨が急落、最安値更新 トランプ氏の関税倍増表明で

トルコのイスタンブールで、トルコリラ紙幣を数える両替商(2018年8月8日撮影、資料写真)。(c)Yasin AKGUL / AFP〔AFPBB News