トランプ氏、選挙介入でプーチン氏追及せず 米ロ首脳会談

フィンランドの首都ヘルシンキで共同記者会見を開くドナルド・トランプ米大統領(手前)と、ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領(2018年7月16日撮影)。(c)AFP PHOTO / Brendan Smialowski〔AFPBB News

1. 意外と知られていない「ドル利用禁止」が効く理由

 「ここにいる(ウラジーミル・)プーチン大統領は、(2016年米大統領選に干渉したのは)ロシアではないと言った。ロシアだと思う理由は全く見当たらないと言える」

 先日ヘルシンキで開催された米ロ首脳会談後の記者会見でドナルド・トランプ米大統領はこう言い放った。

 その後発言を二転三転させているが、多くの米国民や議員の怒りを買ったことは間違いなく、議会では対ロ経済制裁の強化を求める声も上がっている。

 経済制裁が強化されるか否かは分からないが、現在の米国の対ロ経済制裁の主役はSDN(Specially Designated Nationals And Blocked Persons)リストだ。

 このリストに掲載された個人や団体は、在米金融機関に有する口座や資産が凍結される。つまり米ドル(以下、単にドル)の利用が禁止される。

 この「ドルの利用が禁止される」という点につき、金融関係者にはそのインパクトの大きさが自明である一方、一般人にはその意味があまり理解されていないようだ。

 先日、トルコがロシアから「S400」というミサイルシステムを購入するにあたって、米国から「ドルによる決済を認めない」旨の警告が発せられた。

 これに対する筆者の同僚の反応は「それならロシアルーブルかトルコリラで決済すればいい」といったものだった。

 米国が発した「ドルによる決済を認めない」という警告はいったいどういう意味を持つのだろう。