次に、外資系メーカー1社が提携できる中国メーカーは2社までという制限があります。外資系メーカーの多くは、その制限内で販路を広げるため、中国メーカー2社と提携しています。そのため冒頭のように、1つの外資系ブランドが中国では2つのブランドに分かれているという現象がみられるわけです。なお中国メーカー側は、外資系メーカーとの提携数に上限はありません。
中国政府は上記のような自動車業界の外資規制を今後は緩和していき、単独出資での現地生産会社設立も将来的には認める方針を打ち出しています。ただし、仮に規制が緩和されたとしても、販売やアフターサービス体制への影響もあるため、外資系メーカーが中国メーカーとの提携をすぐに解消することはないだろうと思われます。
なお、上記の規制の例外として、中国が普及に力を入れている電気自動車(EV)に代表される新エネルギー車(新エネ車)を生産する場合に限っては、一部特区内で単独出資による現地生産会社設立が認められています。この措置は、EV世界大手の米テスラの中国誘致を念頭に置いたと言われています。
7月10日、テスラは上海にEVの新工場を建設することを発表しました。テスラが米国外に工場を建設するのは初めてとなります。米国との貿易摩擦が過熱する中、市場開放をアピールしたい中国側の積極的な誘致が功を奏したようです。
日系乗用車ブランドから見た提携関係
それでは、各ブランドの提携関係を見ていきましょう。
下の表は日系乗用車ブランドから見た提携関係の一覧です。主力車種の欄を見れば分かる通り、厳密な規制こそないものの、どの日系メーカーも車種が被らないよう合弁先ごとに取り扱い車種を分けています。
(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53544)