過去に例を見ない大きな世代シフトと変革の時代にさしかかろうとしている日本。この大きな問題をテーマに、英エコノミスト・グループは、「ジャパン・サミット2010--日本における世代シフト、新たな時代のリーダーと変革のビジョン」と題するカンファレンスを、昨年12月16日に実施した。
このカンファレンスでは、政府、企業、研究機関から参加者を集め、JBpressでも連載したエコノミスト誌の日本特集で取り扱ったトピックを中心に、日本が直面する課題と向かうべき方向が議論された。その内容を7回にわたって紹介する。
第1回は、「次世代へ向けたリーダーのビジョン」。
大和証券グループ本社会長、清田瞭氏の基調講演と、日本GE社長兼CEO(最高経営責任者)の藤森義明氏、グリー社長の田中良和氏、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授の川本裕子氏によるパネルディスカッションをお送りする。司会はエコノミスト誌東京特派員のケネス・クキエ氏。
日本再生に向けて「人財」の育成、金融資源の活用を
(撮影:前田せいめい、以下同)
日本経済の閉塞感の背景にあるのは、少子高齢化と人口の減少です。
日本の生産年齢人口は1995年から、総人口も2004年から減り始めています。その間、日本の財政は危機的状況に直面し、年金・医療・介護といったセーフティーネットへの不安が広がりました。
人口問題は非常に重要なポイントではありますが、私はこれを悲観する必要はないと思います。人口増加率は高度成長期でも年率1%に満たない期間がほとんどです。それでもいざなぎ景気のころなど、実質成長率13%が5年間も続きました。
経済成長の大きな要素である労働投入量と生産性のうち、より重要なのは生産性です。人口減少で労働投入量が多少停滞しても、成長そのものを諦める必要はありません。
加えて人口が減るといっても、2050年の総人口は9500万人と予想されていますから、ヨーロッパの先進諸国やアジアの成長著しい国々と比べても十分多いのです。人口の問題が日本の限界になることはないと思います。
もちろん、財政赤字は放置できません。日本再生のためには持続可能な税・財政・社会保障制度をつくり上げる必要があります。
併せて申し上げたいのは、「人財」の育成、教育の重要性です。ゆとり教育は、教育現場から競争原理を引きはがしてしまいました。外に出て戦う、チャレンジする気概が失われているところを変える必要がある。