6月6日、自民党が選挙制度改革問題統括本部などの合同会議で、参議院選挙制度の改革案を了承した。
会議の席上、筆頭副幹事長の小泉進次郎氏は、「森友・加計問題で結論が出せない中、こういうことにはしっかりと結論を出す今の自民党の姿、国民をなめてはいけない」と発言したと報じられたが、まさに正論だ。
国会がまともに機能していないのに、自分たちに都合の良い選挙制度改革案だけはしっかり用意する。小泉氏はそこを批判したのだ。
この批判を自民党は完全に聞き流した。その後行われていた参院選挙制度改革をめぐる与野党協議を一方的に打ち切り、この改正案を国会に提出してしまったのだ。
このまま自民党の思い通りに事が進めば、日本の民主主義はさらに後退することになるだろう。
最高裁大法廷判決が求めた「抜本的見直し」
自民党案の柱は2つある。
1つは、比例代表の定数(96議席)を4議席(3年ごとの半数改選時でそれぞれ2議席)増やして定数100議席とし、名簿順位を付けない現行制度の例外として、各党が事前に定めた順位に従って当選者を決める「特定枠」(改選時2議席)を導入すること。
もう1つは、選挙区(埼玉県)の定数を2議席増やし、146から148にすることだ。
「鳥取と島根」「徳島と高知」を「合区」とするなどして「10増10減」の定数見直しを行った3年前の2015年改正法の附則は、2019年の参院選に向けて「選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする」と定めている。
それに対する自民党の回答が、議員定数を増やしてしまおうという今回の案なのだ。附則の趣旨をないがしろにした行為と言うほかないだろう。