マット安川 好意的な支持率の続く安倍自民党政権について、元家庭教師でもある平沢勝栄議員を迎え、アベノミクスやTPPなど、諸問題ごとの現状と実体をお伺いしました。

「一強多弱」の政治は好ましくない。自民党は慢心するな

平沢 勝栄(ひらさわ・かつえい)氏
衆議院議員(自由民主党副幹事長、衆議院内閣委員会理事) テレビ・ラジオにも多数出演。葛飾区柴又在住。『もう黙っていられない!』(徳間書店刊)『政治家は楽な商売じゃない』(集英社刊)『拉致問題』(PHP研究所刊)など著書多数。(写真提供:オフィスヤスカワ、以下同)

平沢 いまの政治の情勢を見ると、横綱(自民党)が1人いて、あとは十両と幕下がゴロゴロいるという感じです。政治情勢としてはあまり好ましくありません。

 ほかに横綱や大関がいて、お互いに切磋琢磨し、よりよい政治を目指すというのが本来の政治のあるべき姿なので、「一強多弱」というのはどうかなと思います。

 自民党はこういう時こそ気をつけなければなりません。自民党にとって一番大きな問題は、野党ではなく、自民党自身です。

 先の選挙で多くの議席をいただき、安倍(晋三、首相)政権の支持率も高い。ということで、国民目線から離れて、慢心し増長するようだと、すぐに国民からソッポを向かれることになるのではないでしょうか。

 自民党はおごることなく自重して、一つひとつ問題を片づけていくことが大事です。風はいつ変わるか分かりませんので、謙虚にならなければいけないと思います。

 景気については、いまは上向いていますが、まだ気分的な要素が大きい。本当に実体的に日本の経済が強くなったから景気がよくなったわけではない。実体経済に基づいて景気がよくなるようにしっかり取り組んでいかなければならないと思います。

 まずはデフレから脱却し、そして賃金が上がらなければなりません。物価は上がる、しかし収入や雇用は増えないということになると、アベノミクスは大失敗ということになります。これからが正念場だと思います。

TPP交渉で国益が損なわれるようなら国会で「ノー」の意思表示を

 安倍さんがTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加することを決断されたのはよかったと思います。

 TPPは経済的な側面だけではなく、アメリカを中心としたこの地域の安全保障や日米同盟にもつながってくる問題です。中国封じ込めの連携がこの地域にできるということは、中国にとってはたいへんな脅威です。だから中国もすごく気にしていて、TPPに日本は入ってもらいたくないと考えている。