私は勤め始めてから、もう何年もゴールデンウィーク(以下GW)に旗日どおりに休みを取ったことはありませんが、4月から新生活が始まった人のなかにはGWを指折り数えて、慣れぬ日々を過ごした人もいたのではないでしょうか。
しかしGWが終わると、新生活であなたが出会った人々の「地金」も見えてくるでしょう。「あれ、この人ちょっと変わっているな」と思った時には、もはや距離を取ろうにも手遅れかもしれません。
ということで、新しい出会いにおける人間関係に、多少なりとも悩む時期かと思いまして、今回は3冊紹介させていただきたいと思います。
『発達障害に気づかない大人たち<職場編>』(星野仁彦著、祥伝社新書)
近年、書店で多く手に取られ、売上を伸ばしているジャンルに「発達障害」がある。発達障害は、その症状によってさらに細かく分けられるが、注意欠如・多動性障害(ADHD)にしても、自閉スペクトラム症(ASD)にしても、名称を耳にしたことはあってもそれがどのようなもので、当事者がどのような困難を抱えているのか、あなたは正しい知識を有していると自信を持って言えるだろうか。
聞きかじっただけのイメージが先行して、漠然と「自分には無関係」「それらは言い訳や、甘えである」「ちょっと変わった人なのだ」と切り捨て、または遠ざけている人は案外多いのではなかろうか。袖すり合うも多生の縁。労働の生産性を上げるには、コミュニケーションは必須。一緒に働く職場仲間への無関心は罪である。あれ、あの人・・・とピンときたら、自分が辛くなる前に1冊読んでおいて損はない。相手の精神構造をつかみ、理解することが人間関係のストレスから解放される、一番の近道である。
今回、まずお読みいただきたい本書は、最近文庫化もされた『発達障害に気づかない大人たち』の第2弾だ。内容的には前著と重なっている部分も多く、この『職場編』からお読みいただいても差し支えない。
本書によると、発達障害が疑われる事例で、とくに大人になってから苦労するまたは周囲の理解が得にくいタイプに、学生時代の成績がよくIQが高い人がいる。あなたの職場の高学歴のあの人。とっつきにくいと周囲から敬遠されていたりしないだろうか。もしかしたら、発達障害が見過ごされたまま大人になった人かもしれない。
学力の高さは学生生活をおくるうえで、ある意味、免罪符のようなものだ。多少特異な言動があったとしても、周囲は「頭のいい変わり者」として適度にほうっておいてくれる。だが、社会に出てからの人生の方が長いのだから、「社会性」のほうが頭の良さよりも重要であると著者は説く。