トランプ氏企業に文書提出命令 特別検察官、ロ疑惑の捜査拡大

ロバート・モラー米特別検察官(資料写真)。(c)AFP PHOTO / SAUL LOEB 〔AFPBB News

「国家の内部に潜んでいる国家に従わない官僚」

 「Deep State」(ディープ・ステート)という言葉がある。「国家の内部に潜んでいる国家に従わない官僚」とでも訳すのだろうか。

 時の大統領や首相に反旗を翻す官僚軍団である。言葉の起源はバールーフ・デ・スピノザ*が書いた「Imperium in Imperio」からとも言われている。

*バールーフ・デ・スピノザは17世紀のオランダの哲学者。デカルト、ライプニッツと並ぶ17世紀規制合理主義哲学者。スピノザの汎神論はカントやヘーゲルらのドイツ観念論へ強力な影響を与えた。

 米国では以前からあったが、ドナルド・トランプ氏が大統領になって以来、その支持者たちが盛んに使っている言葉である。

 その例がロシア疑惑捜査に関する内部情報が次々とメディアに漏洩されている点を重視し、それが「ディープ・ステート」の仕業だという指摘だ。

 保守派陰謀論者は連邦捜査局(FBI)や米中央情報局(CIA)の中にこうした勢力がいると激しく批判している。

陰謀説で民主党歴代政権やブッシュ政権を糾弾

 本書『Killing the Deep State』はその「ディープ・ステート」の実態を暴いた警告の書。著者は超保守派のベストセラー作家、ジェローム・コージ氏(71)だ。

 同氏は徹底したリベラル派嫌い。民主党歴代政権だけでなく、ブッシュ一家を共和党保守派の邪道だとして叩いてきた。

 陰謀論を「天下の宝刀」にし、本を出すたびに物議を醸し、それがベストセラーになっている。

 著書を著す一方で、保守派サイトの「WorldNetDaily 」や「Human Event」に健筆をふるっている。2017年からは保守派サイトの「InforWars」のワシントン支局長を務めている。