2017年11月の中国共産党第19回党大会で習近平中国共産党総書記の報告がなされ、その中で習近平総書記の安全保障観と安全保障戦略が示された。
同時に通過した新たな『中国共産党党規約』では、その冒頭で、中国共産党は、中国人労働者、人民の「先鋒隊」であるだけではなく、中華民族の「先鋒隊」であると規定されている。
また、中国共産党の最高の理想と最終の目標は「共産主義の実現」にあると断言している。そのことは、すべてを「民主集中制」のもと共産党の「領導(指導)」の下に置く共産党独裁政治を貫徹するとの決意を内外に改めて表明したものと言えよう。
今回の党大会では、50代若手の政治局常務委員が選出されないなど、習近平総書記への権限強化が図られている。安全保障、軍事面ではどうであろうか?
また、報告された習近平の安全保障観、安全保障戦略の内容はどのようなものであろうか?
1 党大会報告にみられる習近平総書記の
安全保障観と安全保障戦略
今年10月に開かれた中国共産党第19回全国代表大会での習近平総書記の報告では、本党大会の主題が
「初心を忘れず、使命を深く胸に刻み、中国の特色ある社会主義の大旗を高く掲げ、小康社会を全面的に建設し、新時代の中国の特色ある社会主義の偉大な勝利を勝ち取り、中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現のために怠りなく奮闘すること」
にあると、その冒頭で宣言している。
そのための基本戦略として、以下の14項目が挙げられている。
①すべてに対する党の指導の堅持
②人民を中心に服務することの堅持
③改革の全面的深化の堅持
④新たな発展理念の堅持
⑤党の指導下での人民統治制度の堅持
⑥法に基づく国家統治の堅持
⑦社会主義の価値体系の堅持
⑧発展の中での民生の保証と改善の堅持
⑨人と自然の調和と共生の堅持
⑩総体的な国家安全保障観の堅持
⑪党の人民軍隊に対する絶対的指導の堅持
⑫「一国両制」と祖国統一推進の堅持
⑬人類運命共同体の建設推進の堅持
⑭全面的に厳格に党を管理することの堅持
この中で安全保障上注目されるのは、⑩以降である。