日本よ、“食料を失う日”のために備えよ

マッキンゼー「食料争奪時代」報告書を読む(後篇)

2017.12.15(Fri)漆原 次郎

国民、農業者、企業、自治体、政府、みな当事者意識を

 日本の食料安全保障は、この国で食料を得て生きている以上、日本のすべての人が関わる課題だ。それぞれの立場にある人たちは、どのような意識や視野を持つことが重要になるのか。

「まず、国民のみなさんにとっては、いま私たちが置かれている状況を知っていただくことから、意識改革が始まると思います」。報告書では、<食料安全保障について考えるために終日国産品だけで過ごす日>の制定なども発案されている。

「農業者の方々に対しては、生産性改革への期待があります」。輸入戦略も重要ながら、輸入をめぐっては何が起きるか不透明な時代。生産性を高めるための技術の積極的な導入が重要になるという。

「民間企業は、グローバルな食料危機を乗り超えるためのビジネスづくりを目指していただきたい」。社会的責任の観点から取り組むのでは続かない。課題解決が商機につながるようにビジネス構築することが必要となるわけだ。

「地方自治体については、危機意識の醸成が必要です」。危機が訪れたとき、地域の住民まで食料を運ぶことができるか。有事を想定しながら、市民に食料を届けるために備えておくことが求められるという。

「そして政府は、全体像を描きつつ食料安全保障実行体制をつくっていただきたい」。政府は食料安全保障全体を司る立場にある。報告書では「トップダウンの戦略」が針路として示されている。

地道な“備え”があればこそ

“備え”とは、それが役立つ場面に直面しなければ重要性を感じづらいもの。だからこそ、その場面が来ないうちからの地道な発信、提言、そして議論が求められる。

 今回の「食料争奪時代」を見据えた報告書もまた、“備え”を前進させるための契機の1つとなるだろう。

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