アレルギー疾患に社会はどう対応していくべきか。

 2017年11月26日、アトピー性皮膚炎患者の疾病負荷をテーマとするシンポジウム「アトピー性皮膚炎がもたらす患者への深刻な影響~社会課題としてアレルギー疾患対策を考える~」が、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催された。

 シンポジウムを運営した「患者から見たアレルギー疾患対策推進研究会」会長の武川篤之氏は、「国民の2人に1人が何らかのアレルギーに罹患(りかん)する時代になっており、発症の低年齢化、高齢有症者の増加等や根本的な治療法がないこともあり、アレルギー疾患に対する対策は重要な社会課題といえる。従業員の健康増進という観点で、産業界への期待も大きいと」と語る。どのような取り組みが求められているのか。

複数のアレルギー患者の会が連携し患者のQOL向上を目指す

 シンポジウムでは、皮膚科専門医で九州大学大学院医学研究院の中原剛士准教授が、アトピー性皮膚炎がもたらす悩みと医師とのコミュニケーションとの関係性についての調査詳細を発表。さらに、患者代表として、日本アレルギー友の会の丸山恵理副理事長が「アレルギー性皮膚炎の患者の抱える治療と生活への負担」をテーマにスピーチを行った。その後、専門家4人のパネルディスカッションも行われた。

 プログラムを通じて、アトピー性皮膚炎と疾病負荷(かゆみや皮膚症状のつらさ、私生活や社会生活の制限、精神的な苦痛など)に対する理解を深めるとともに、これらを軽減するために、医療従事者と患者、それぞれの立場でどのような対応が求められているのか、意見を交換した。武川氏は「社会全体が、アトピー性皮膚炎をはじめ、アレルギー疾患にもっと関心を持っていただけるきっかけとなる活動を引き続き行っていきたい」と語る。

 患者から見たアレルギー疾患対策推進研究会は、アレルギー患者の声を届ける会を構成する団体である日本アレルギー友の会、環境汚染等から呼吸器病患者を守る会、相模原アレルギーの会、の3団体を中心に、医療従事者・医療専門家などで設立された。オブザーバーとして日本喘息患者会連絡会が参加している。