10月23日の米WTI原油先物価格は前週末に比べて0.06ドル高の1バレル=51.90ドルで取引を終えた。OPECをはじめとする主要産油国の減産と米シェールオイルの増産の綱引きが続き、原油相場は相変わらず「ボックス圏」内で推移している。
今年1月から実施されている協調減産(日量約180万バレル、2018年3月まで)により、OPEC加盟国全体の原油在庫は順調に減少している。だが、OPEC事務局の試算によれば、原油市場における供給過剰状態が解消されるのは2018年第3四半期である(10月13日付ブルームバーグ)。このため市場では協調減産の延長期間に注目が集まっている。10月19日、OPECのバルキンド事務局長は「現在実施されている減産が2018年末まで延長される」ことをこれまでになく強く示唆した(10月20日付ブルームバーグ)。
しかし、11月30日のOPEC総会で減産延長が決定されるかどうかは不透明な状況である。ロシアは「減産延長の決定は来年初めまで待つべきだ」との主張を繰り返しており、クウェート石油相も16日、「減産遵守率が高いことから減産延長をしなくてもよくなるかもしれない」と述べた(10月16日付OILPRICE)。
また、OPECのバルキンド事務局長は、米国のシェール企業に対して、世界的な原油供給抑制に協力するよう呼びかけている(10月21日付OILPRICE)。OPECをはじめとする主要産油国が減産を実施する一方、米国の原油生産量は今年に入り約10%増加しているからだ。
だが、シェール企業が減産に協力する可能性はゼロに等しいだろう。サウジアラムコ(サウジアラビアの国営石油会社)が1社でサウジアラビア全体の原油生産を担っているのとは異なり、米国のシェールオイル生産には数千社に上る企業がかかわっているからである。限界状況で生産を続けている企業も少なくなく、足元の原油価格の動向に敏感に反応して増産や減産を繰り返している。