ヘビ革のバッグから、当の利用されているヘビの頭が、ぬっと飛び出す。
ワニ革やヘビ革の財布に鋭い歯が並び、ケタケタと笑うように口を開ける。
七宝作家・春田幸彦さんは、伝統的な有線七宝という技法によって、見る人をあっと驚かす作品をつくりだす。その作品は、英国ヴィクトリア&アルバート美術館にも所蔵される。
また新作は、現在、東京・日本橋の三井記念美術館で好評開催中の展覧会「驚異の超絶技巧! - 明治工芸から現代アートへ -」に展示され、話題を集めている。
人々の意表をつく造形に込めた意味はなにか。本人に話をうかがった。
伝統の七宝を立体的に展開しようと思った
──女性用のバッグからヘビの頭が飛び出している作品は、たいへん迫力がありますね。七宝というと、優美な文様が描かれた花瓶やアクセサリーを想像します。そのイメージが大きく覆されました。