「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」と孫子が教える通り、今や、日本国民は、我が国の平和と独立および国益を守り抜くため、最大の潜在脅威である中国の軍事情勢を知らなければならない。このため、彼らの軍事力の基本的な知識をまず紹介する。

中国の軍事制度:軍隊、統帥機構、階級構成

2010年防衛白書、中国の軍事力増強に懸念

人民解放軍〔AFPBB News

 中国の法制上、人民武装力量と呼ばれる軍隊は、人民解放軍(解放軍)、人民武装警察部隊(武警)および民兵から成る。

 中華人民共和国中央軍事委員会および中国共産党中央軍事委員会が、これらを指揮統制する。すなわち、中国には西側諸国と異なり、1人の国軍総司令官は存在しない。

 最高統帥機関である両中央委員会は、それぞれ首席1名、副主席2人および委員8人から成るが、いずれも胡錦濤首席(党総書記・国家首席)はじめ同一の人物である。

 なお、首席のみが文民で、副主席および委員は、すべて党幹部、国防部長、4総部長、第2砲兵・海軍・空軍各司令員を務める現役上将から成る。

 中国当局の公式見解によれば、このような最高統帥機構を人民が支える党が軍を指導する態勢である。これに対し、西側諸国では、中国軍を国民の軍隊でなく共産党一党独裁体制下の党の軍隊と見なしている。

 4総部は、総参謀部(作戦部、情報部、技術部、電子対抗電達部、軍訓和兵種部、動員部、通信部等)、総政治部、総後勤部、総装備部(1998年に新設)から成り、西側の統合参謀本部機構に相当する。

 武装力量の主力を成す解放軍は、18個集団軍、海軍、空軍、戦略ミサイル部隊である第2砲兵(2砲)および予備役部隊から成り、瀋陽、北京、済南、南京、広州、成都、蘭州各軍区に配置されている。

 軍区は、平時に広報、警備、情報、徴兵、動員などの軍制を担当し、戦時に統合作戦地域の基盤になる。

 例えば、南京、広州各軍区を合わせ、東南戦区という南西諸島または台湾進攻向きの戦域を編成する場合もある。