トランプ氏、バノン氏を解任 「白人主義者」と批判の首席戦略官

スティーブ・バノン氏(2016年12月10日撮影)。(c)AFP/Eduardo Munoz Alvarez〔AFPBB News

 米国トランプ政権の大統領首席戦略官、スティーブ・バノン氏が8月18日、解任された。トランプ大統領がニュージャージー州で「ワーキングバケーション(働きながらの休暇)」を過ごし、ワシントンを離れている間にバノン氏はホワイトハウスを去った。トランプ政権発足以来、人事面での最大級の出来事だったと言ってよい。

 昨年の大統領選ではトランプ氏の選対本部長を務め、政権発足後も基本政策の立案に関わったとされるバノン氏の離脱は、今後トランプ政権にどのような影響を与えるのだろうか。プラス面とマイナス面を整理してみよう。

【プラス効果 その1】政権内部の混乱や対立を解消

 バノン氏がトランプ政権を離れることによる第1のプラス面は、政権内部の混乱や対立の解消に寄与することだ。

 バノン氏は保守派の論客である。とくにオバマ前大統領に体現されたリベラル派の政策や思想を論破する雄弁をふるってきた。だが、その自由な言動は、ときに政権内部の混乱を浮かび上がらせた。

 つい最近もバノン氏は、トランプ政権の北朝鮮対策に関連して「軍事手段はありえない」と述べた。この発言は、トランプ大統領の北朝鮮への「炎と怒り」という言葉からはかけ離れていた。政権内の他の幹部たちの「軍事的選択を含めてあらゆるオブションが机上にある」という発言とも矛盾していた。

 自分の言葉で自分の考えを自由奔放に述べる。それがバノン氏の本来の姿だといえよう。組織の規律に従わないタイプである。そんな人物が大統領の傍にいれば、政権内の食い違いがどうしても顕在化してしまう。政権発足以来、そんな現象が何度も表面に出てきた。