中国のノーベル平和賞受賞者、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏の悲惨な死は全世界に衝撃を与えた。その背後に浮かび上がったのは、獄中の政治犯に適正な医療を施さない中国当局による組織的な人権抑圧である。
米国などを拠点とする複数の人権擁護団体によると、中国共産党政権は、独裁体制を批判する民主活動家たちに対して拘束中に必要な医療措置をとらず、その死を早めさせる意図が明確だという。
7月13日に死亡した劉暁波氏の場合、かなり以前から肝臓がんの前兆があったと家族たちが報告していた。劉氏は服役中に肝炎の症状を示したが、当局は適切な医療措置を施さなかった。病態が深刻となってからも、刑務所からの解放や本人が望んだ国外での治療を認めなかった。
刑務所内の医療施設は「最低の水準」
中国での人権弾圧の実態を監視している国際人権擁護組織「中国人権」「人権保護者」「人権ウォッチ」などの代表は、今回の劉暁波氏の死を契機に、中国の刑務所や収容所での医療の実態について相次いで見解を発表した。
これらの人権組織は米国のワシントンに本部を置く場合が多いが、中国国内の協力者と密接な連絡を保ち、人権弾圧に関する最新の状況を監視しているという。