NHKは受信料を徴収しているし、国の予算もつぎ込まれている。公共放送事業の特殊法人で、外国から見ると日本を代表する報道機関である。
そうであるならば、共産圏のように指導部や政府の代弁機関であるとは言わないまでも、テレビおよびラジオ放送事業として、日本の歴史と伝統を重んじ、広く国民の声を汲み上げ、公正な報道に努める必要がある。
放送法(第4条)の文言で言うならば、公安及び善良な風俗を害せず、政治的に公平で、報道は事実を曲げず、対立意見は多角的に論点を明らかにすることが求められている。
ところが、現実はこのような報道になっていないために、受信料不払いなども起きている。第1の問題点は偏向報道であろうが、民放との視聴率競争などからくる、例えば紅白歌合戦に見られるような過度の芸能番組化も疑問である。
徹夜審議中に流されたテロップは?
歌合戦は年の瀬のご愛嬌番組としてさて置き、6月15日は与野党が対立し、また国民を二分するテロ等準備罪を規定した法案について、国会では徹夜で裁決のための中間報告が行われていた。
そうしたなかで、臨時ニュースを知らせる警告音が響いた。その瞬間、さては国会で大きな動きがあったか、あるいは大きな災害でも発生したのかと思いきや、何と「野際陽子さん死去」のテロップであった。
芸能界に詳らかでない筆者にはこれがどれほどのニュース価値があるのか分からない。しかし、国会では徹夜で国論を二分するような報告が行われている時に、地震や大雨などの警報ならばともかく、一芸能人の死去が特報で流されるほどの重要性があったのだろうか。
NHKの感性は狂っているのではないかと強く思わざるを得なかった。同様に18日の元SMAPメンバー3人(稲垣、草彅、香取)の退社報道でも違和感があった。
人気グループであったことは確かであろうが、既に昨年末に解散したグループである。そのうえに、内輪話的なことを長々と解説していたが、正直、芸能番組ではあるまいし・・・と思ったのは筆者1人であろうか。
極めつけは23日の冒頭に歌舞伎俳優市川海老蔵の妻小林麻央さんの死去ニュースが長々と報じられたことである。人気者同士の結婚であったし、麻央さんが闘病生活しながら、病気で苦しむ人々をブログで勇気づけてきたことは美談に違いない。