「売りたい人」と「買いたい人」は、どうやったら出会えるか?

 オランダは世界一のカカオパウダーの輸出国なのを、ご存じだろうか。

 もちろん、北欧と呼んでいいような冷涼なオランダでは、カカオのような南国の植物は育たない。実はオランダは、カカオの世界一の輸入国でもある。

 ここで不思議に思えるのは、なぜチョコレートメーカーは直接、カカオの原産国であるアフリカから調達しないのだろうか? そうすれば、オランダの企業や市場に中間マージンを取られずに済み、安くチョコレートが作れるだろうに。

 また、カカオの原産国は、なぜベルギーやフランスなどのチョコレートメーカーやチョコレート職人(嫁さんによるとショコラティエとしゃれた呼び名があるらしい)に直接売る努力をしないのだろうか。そうすればオランダの市場や企業に中間マージンを取られずに高くカカオを売ることができるだろうに。

 ところが実は、カカオ原産国はオランダにカカオを売った方が高く大量に売ることができ、チョコレートメーカーはオランダを介したほうが安くて品質のよいカカオパウダーを入手することができる。

 なぜか? 「目利き」機能があるからだ。

売りたい人と買いたい人をつなぐ

 オランダは世界で初めてカカオをパウダーに加工し、チョコレートにする技術を開発した国だ。それもあってか、どのカカオが口溶けのよいチョコになるのか、堅めの溶けにくいチョコになるのか、という「目利き」ができる。チョコレートメーカーが希望する品質のカカオパウダーをサッと提供できる目利きができるから、メーカーはオランダで調達しようとする。カカオの原産国は、確実に顧客を見つけることができるからオランダに持ち込む。